合格を果たしたのは埼玉県川越市立野田中3年の川口瑠美子さん(15)。両親は学費の高い私立高校の入学に反対だったが、実技が学べる日本航空石川高の魅力は捨てがたい。「推薦でダメだったら公立高校にする」が約束だった。
16日午後11時半、JR長岡駅(新潟県)。新幹線から乗り換える予定だった夜行列車が、折からの大雪で運休になってしまった。「もう間に合わない」。同時に夢は「終わった」と思った。母とともに立ちすくむ静かなホームで、涙が止まらなくなった。
泣いている瑠美子さんを母が「絶対あきらめない」とたしなめた。そして、長岡駅を出た母は娘にヒッチハイクを提案した。瑠美子さんは車が通りかかるたびに傘を振り回して合図。吹雪の中を約2時間半歩き続けた。
午前4時半、ガソリンスタンドで給油している大型トラックが目に入った。運転手の男性に駆け寄った。神戸に行くという運転手は「金沢までなら」と乗せてくれた。
「同じ中3の娘がいる」と言う運転手はヨコヤマと名乗った。夜が明けるころ、金沢に入った。「よし、輪島まで行っちゃる」とヨコヤマさんが突然、向きを変えた。母と瑠美子さんが会場に着いたのは午前9時。試験開始のわずか10分前だった。途中の経過をずっと携帯電話で聞いていた浅川正人副校長は、試験に間に合わなかったときの対策も考えていたという。ヨコヤマさんは「がんばれよ」と励まして去って行った。連絡先は教えてくれなかった。
試験の作文の題は「私が感動したこと」。大反対しながら懸命に励ましてくれた母のこと。遠回りして会場まで送ってくれたヨコヤマさんのこと。「人の優しさにふれることができ、感動、感謝、他にも色々と感じることができ、良かった」と懸命に書き上げた。
後日、合格通知が届いた。真っ先にヨコヤマさんに知らせたかったが、連絡先はわからない。瑠美子さんは「感謝の気持ちを周りの人に少しずつ返していきたい」と思っている。
・ <名古屋ひき逃げ>ブラジル人の携帯 遺棄車内から(毎日新聞)
・ 橋下知事2年、本紙意識調査 年長者に圧倒的支持 公務員には不人気(産経新聞)
・ 国歌不起立の教職員名収集、神奈川県教委が継続(読売新聞)
・ 代表質問の首相答弁要旨 納税者番号「1年以内に結論」(産経新聞)
・ 盛りだくさん「恵方」行き列車、1年の福願う(読売新聞)